配線おわりましたので、ネックにとりかかります。

まず、ペグを取り付け。今回はゴトーのクルーソンタイプ。ポストの高さが段差になっていて、テンションピンがいらないようになってます。

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こんな感じで、1-2、3-4、5-6弦の3段階で段差があり、1弦側に行くにしたがって低くなってます。

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では、ボディに取り付けてみます。

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見た目は良さそうです。なんとかギリギリ間に合いそう。

が、いざ弾いてみると・・・あれ、ところどころ音が詰まる。フレットすり合わせしたんだけどなぁ?ネック反ってきた?

15フレット、20フレットあたりがちょっと浮いているようです。

(この辺は、写真とってる余裕がなく、文章のみで失礼します。)

ハイポジだけもう一度打ち直し&すり合わせれば大丈夫なはず。オーナー様に引き渡す当日でしたが、少々お時間をいただいてフレットを調整。

できあがったところで弦を張って確認すると、こんどは9フレット付近で詰まる・・・

昨日は大丈夫だったのに???

(冷や汗が・・・)

このままお引渡しするわけにはいきません。取り急ぎ、電装系の確認だけでもしてもらおうと、ひどい状態のネックのまま、オーナー様にスイッチ関係の確認をしていただきました。

電装系の意識違いはなく、オッケーでしたが、ネックはすぐには治らないため、結果的に、その日のうちのお引渡しは間に合わず、後日お届けすることに・・・。(せっかくご足労いただいたのになにやってんだ俺・・・。)

その後、全フレット再点検し、スケールで高さを確認しながら「浮き」があるところは打ち直し、最後に念入りにすり合わせを行いました。これでストレートになったはず。

ですが、フレットの打ち込みの際、誤って指板に打痕が。

(!!)

一瞬、血の気が引きました。これを直すには、また塗装まで戻らねばなりません。となるとまた1か月くらい掛かる・・・。焦りが生んだトラブルだと思います。

ここで止めるか迷いました。

幸い、弾き心地に著しい影響のあるキズではないし、もう「弾ける」状態まで出来上がっているんだから、一日も早くオーナー様に弾き心地等を確かめてもらいたい、という思いもあります。

打痕等は今後も付く可能性もあるし、何かの機会にまとめて補修すれば良いのでは?とも思いました。

悩んだ末、このまま作業をすすめて、お引渡しの際に、オーナー様にご確認いただきつつ、事情を説明しよう、という結論に至りました。

「一年間は無償でメンテナンスします。」ということで。

弦を張って確認したところ、バッチリ!全ポジションで音づまりもありません。弦高もかなり低めに設定できました。フレットの調整自体はうまくいったようです。

そしてお引渡し当日。実物をご確認いただきつつ、オーナー様に打痕の件ご説明したところ、

「すでにわかってる不具合なら直して完璧にしてもってきてほしい。また預けたりだと、二度手間、三度手間になるので。なぜ事前に電話で伝えてくれなかったのか。今日は受け取れない。」と、至極ごもっともなお叱りをいただきました。

お客様にとっては、当たり前のことです。

ちょっとアタマを冷やして考えればわかりますが、高いお金を払って出来たものが、最初から傷物でしたというのは、ありえない話です。

帰り道に猛省しました。

対価をいただいているプロとして恥ずかしい、と。

母校(として紹介させていただいている)GCAにも、東北ずん子さんにも泥をぬることになってしまう、と。

焦っても仕方ないので、腰を据えて、完璧なものを目指します。

帰宅後、早速ネックを外し、打痕の補修に入りました。

慎重に、念入りに傷を取り除きます。

合わせて、気になっていたシミも全部直します。

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ペーパーで整えた後、塗装のためにナットやフレットをマスキングします。

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夜になって若干外の気温が下がってきたところで、塗装ブースに入り、艶消しクリアーを吹き付けます。

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硬化を待って、場合によっては磨き→吹き付けを繰り返します。

気合を入れなおして精進します。